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グランドピアノは持っていませんが、一言。 グランドピアノで強い音を出すのに苦労
している人は多いと思います。
脱力とか、指の鍛錬とか、体重の移動とか・・・いろいろ言われています。 どれもそう
なのかなと思いますが、ちょっと違ってます。
多くは、ピアノの弾き方に間違いや誤解があると思ってます。
何故ならば、ピアノ(生ピアノ)は叩くと音が出ちゃうからです。
普通に叩いても、聞くだけの十分な音量なので強く弾くという概念が芽生えません。
電子ピアノもそうです。 音量を自由にコントロール
出来てしまいます。 しかして、どちらも強く弾くという必要に迫られないのです。
譜面のフォルテはあくまでも、いつも弾いている音量の中の
フォルテなのです。 そこに大きな勘違いと言うか考え違いがあります。
思うに、普通の音すら、はっきり言って叩いていないのです。
言い方悪いけど、撫でているか触っている程度なのです。
これでは、ピアノの音は決して強く出ないのです。
ですから、前述のような脱力とか、指の鍛錬とか、体重の移動とか・・・
いろいろ言われる問題が生ずるのです。
私の出す音は多分相当強いです。 強い音が出せれば、弱音との差が大きくなります。
オーディオ用語でダイナミックレンジと言います。
どんなにスラスラと弾きこなせても、
ダイナミックレンジの狭い演奏は貧相に聞こえます。 つまり、人の心まで届きません。
強い音を出すのは、簡単ではありません。 感覚的な物で説明できませんが、
握力あっての脱力です。 筋力あっての脱力なのです。
この辺り、誤解があります。 練習曲重ねに重ねて修練しても、
ダイナミックレンジは広がりません。 技術とは全く無関係です。
私は、ホールでグランドピアノで練習をしていた時期がありましたが・・・。
自分でも驚くぐらい、音大きかったです。
理由はお分かりだと思います。 難聴だからなのです。
電子ピアノで弾いても、意識的に強くたたくようにしてました。
弦が切れるとか、鍵盤が壊れるとか・・・そんな柔な事考えてては音出ません。
そんな思いで電子ピアノも叩きます。
フジ子ヘミング氏のノクターン演奏聞いて、右手が強いと思います。
意識しているらしいです。 左手も強いと思います。
それが、フジ子ヘミング氏の言われる「色を付ける」という事なのだと思います。
強い音を出すという事は、上手下手とは全く関係ありません。
ですから、意識して鍛錬しないと永久に強い音は出せません。
まず、単音を出すことを繰り返します。
打鍵の速度などにより、恐らく数十デシベルの違いが出るはずです。
これ以上は無理と言う限界まで叩きます。 それで、上限は出来たことになります。
恐らくに普段聞く音より、相当強く大きい音だと思います。
世間やピアノを案じては、ダメですね。 強力な騒音機械にならないとだめなのです。
それが、ダイナミックレンジの広げ方です。
簡単な曲を苦手とする人は、音が弱いです。 ダイナミックレンジの弱い人ですね。
卵を握るような手の指導を受けてはいませんか? 手首の脱力を言われていませんか?
速いパッセージを弾くときは、指先を立てたほうが良いと・・・。
指の腹で弾くのとでは、鍵盤の接触面積が格段に少ないので強く大きな音は出ません。
鍵盤に対する速さだけではダメで、
面積を増やして重さをかけないと大きく強い音は出ないのです。
ホロビッツの弾き方は、手が大きいのに指を伸ばして打鍵します。
それがゆえに、決して軽快な演奏とは言えません。 しかし、音が強いのです。
ホールの後部でも音が小さくなることはないそうです。 さもありなん。
手が小さくて指が細い人は、最初から負けています。
必要なことは、通り一遍ではなく、曲により打鍵方法を変えると言う事です。
クラシックは平気なのに、童謡やら歌謡曲が苦手なのは音が強く出ないからですね。
決して走ってはいけない曲、難しいと思います。
英雄ポロネーズ、あのテーマの部分・・・。 あっさりと弾きこなしてる人多過ぎで
、違うなあといつも思っています。
もっともっともっと、感情ぶっつけて欲しいですね。
そのためには、とても強い音が必要です。
あと、例のピアノ協奏曲第一番。
あの重音をこれでもかこれでもかって、弾くにはやはり強い音が必要ですね。
どの音も普通に弾いた場合、どの音も強く弾いた場合、電子ピアノで普通の音量で弾いた場合の疑似グラフです。
グランドピアノで特に意識して、必要部分を強い音で弾いた場合の疑似グラフです。
いづれにせよ、音の強弱つまりメリハリだけではダイナミックレンジの拡大にはならないという事が分かると思います。
弱い人のピアノは弱いのです。