息子がD3とD300ならびに高級レンズである70-200mmF2.8、24-70mmF2.8を所持しているので、
その画質を評価してみましょう。
評価レンズはニコンAF70-200mmF2.8、AF24-70mmF2.4及び借用分のニコンAF70-300mmVRの三機種です。
評価カメラはD3、D90で比較カメラはソニーα350比較レンズはタムロンAF24-135mmSPです。
■ニコンAF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF) 希望小売価格: \270,000 (税込 \283,500)
EDレンズ5枚使用。
D3はフルサイズなのでD90とはやや見え方が異なります。ボケがきれいなのはF2.8の特質だが、非常に先鋭度が高いのです。
立体感がある描写だがのっぺりとした印象も受けます。各種補正の効かせすぎなのかも知れません。
どうも撮像素子の解像度は、レンズの解像度に追いついていないように見えます。
D3xならば充分に性能が引き出せるのでしょう。
いずれにせよ70-200mmの最高レンズであることには違いがありません。
■ニコンAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED 希望小売価格: \260,000 (税込 \273,000)
EDレンズ3枚使用。非球面レンズ3枚使用
普通の人が見ても特段に感動はしないような見え方をする。これは装着したのがD90だからでもあります。
役不足なのは否めないでしょう。それでもかなり線が細い描写をするように見えます。ボケはさすが2.8で素直。
よくよく考えたらこれはズームレンズなのだと気が付くのです。
そういう意味では確かに凄いレンズなのでしょう。
単焦点レンズ並みの写りをすると言っても良いかもしれない。ただ、この重さはなんともし難い。
D90ではフロントヘビーでどうしようもないのです。D3クラス専用と考えた方が良いくらい。
ただ、単焦点を何本も持参するよりはずっと実用的なのは当然です。
ソニーのツアイスレンズ24-70mmとはかなり描写が違う。個人的にはニコンの方が柔らかに感じます。
■ニコンAF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) 希望小売価格\78,000 (税込 \81,900)
EDレンズ2枚使用。
VR付きでさすがに大きい。
VRの効果は素晴らしいが、動作音というか作動ショックというかガサツさは否めない。ただVR効果はすこぶる強力で問題ない。
画質はニコンらしいキッチリとした鮮明ものだが、70-200mm F2.8Gと比べると差がありすぎて評価に困るのです。
まず開放値の暗さからボケはそれなりで高級レンズのような味は全くない。
こんなものだろうと思うぐらい画質は中庸で文句はありません。
しかし、70-200mm F2.8Gの絵を見るとないものねだりになるので落胆するでしょう。
テスト時は曇天~雨天で、D90はやはりホワイトバランスがマゼンタにやや転んでいました。
これは個体差の範囲だと思うし、イエローに転ぶのは好きでないのでそのまま使っています。
ソニーもD3もホワイトバランスは適正で感心する次第です。
感度は三機種ともオートに設定したので、それぞれ感度が上昇したがノイズの一番少ないのはD3で次いでD90、
ソニーはISOが400まで上がるとかなりノイズが目立つようになります。総じてソニーがノイジーだが画質は良いようです。
価格対比では一番シャープかも知れません。
結論から言うとやはり価格の差は見えにあり、ボケや歪曲にこだわらないのであれば高級レンズは必要ないと言えるでしょう。
またカメラの価格は価格通りであり、高級機ほどノイズは少ないのです。
これも晴天の撮影であれば全く差が出ないので、ピーカンオンリーの撮影なら高級機は必要がないことも確認できたと言えます。
大は小を兼ねるので、大鑑巨砲主義ならばD3クラスだろうし、小廻り重視ならば低価格機種でも事足りると言えます。
ニコンのレンズの造りの良さは伝統的に変りません。
キットレンズの大半はメイドインジャパンではなくなりましたが、ニコンであることには変わりはありません。
諸メデア掲載による開発者の声を聞くと、
レンズの設計は諸収差を排除して鮮明度、つまり解像度をあげることだとメーカーでは言っている。これはニコンに限らない。
パソコン観賞が増えた現在では、極限まで解像度を上げざるを得ないのだという。
レンズと言う物は収差を残すと鮮鋭度が落ち、描写は柔らかくなる。このさじ加減が開発者の腕の見せ所なのだが、
初心者には親の心子知らずの論理が常に付いて廻る。大変だろうと思う次第です。
たとえば、巷ではこのような話が蔓延しています。
ニコンAF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-70mm F3.5-4.5G (IF)というD70のキットレンズであり、当初はD300のキットレンズでもあった
レンズがあります。残念ながら生産は中止されるだろうとの噂が絶えないレンズです。
このレンズは後発のAF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VRと焦点域がかぶるのですが併売されています。
確かに18-70mmはVR非搭載なので価格差は4万円もある。しかし、下位にはVR搭載の18-55mmがあり、
VR非搭載である18-70mmの存在する意味がないようにも思えます。ところが、どうもそうではないらしい。
描写があまりにも違うので、併売せざるを得ないのではないかとのユーザーの憶測が蔓延しているのです。
もちろん18-70mmの描写が良いというのではありません。
16-85mmも18-55mmも解像度では評判のレンズなのです。つまり高解像度=描写が硬いということらしい。
VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)もニコンとしては低価格ですがそのように感じました、確かに。
つまり17-80mmは低解像度との噂があり、そうであるならば軟調なのです。
これは由々しき問題であります。
カメラ暦が長ければ長いほど、またフイルム時代の経験がある者ほどカリカリの描写は好みません。
人間の視覚には、自分の目の解像度を上回るようなものは排除するような傾向があります。
非日常であるチリチリ感を最も敏感に認識するのです。
その鮮鋭感を作例に利用することもありますが、元来チリチリ感は人の目には馴染むことはありません。
よって、やや甘めの描写を容認するのです。
実際17-80mmをテストしてみると、EDレンズを3枚使用しているだけにそつがない中庸な写りをするようです。
ただ全域でやや明るめのレンズであり多少のフレアーを感じます。よって、確かにコントラストは中庸そのもの。
昨今のレンズとはコーティングが違うため、鮮鋭感は感じません。なるほど、そういうわけかと納得。
こういうレンズがあることをほとんどのユーザーは知らないわけで、これは隠れた名玉としていずれ消えていくのでしょう。
ニコンの高級レンズのラインアップには昨今のレンズと焦点域がかぶるものが多くあります。
それはとても手が届かないほど高価で、重いものばかりです。
しかし、間違いなくそれらのレンズには普及価格のレンズにはない味があることでしょう。
高画質とは解像度の高いことだけではありませんし、収差がないことだけでもないのです。
つづく