まず最初に、初見演奏に自身の主観を述べていますが、初見演奏を否定するものではありません。
誤解ない様に。
なぜ初見演奏が可能なのか、多くの人が研究しているようです。大方は私の考えと同じでした。
つまり、楽譜は見ないけど、楽譜は徹底的に見ています。一音残らずに。
一小節を読むのにかかる時間をパソコン並みに早くすれば、初見が完成するのです。パソコンはデーターを音に変換しますが、やってることは非常に単純です。この、低能力のパソコンにも敵わないのは速度です。パソコンは1秒間に人間の何億倍も計算ができます。しかし、初見に必要なのは少し先を読むだけの力があれば良いのです。
少なくとも2小節先まで変換出来れば、初見完成となります。楽譜は右にのみ走りますから、右に目が移動します。
この時点で、音譜の長さを把握する事になります。和音は団子ですから、目は下方向に移動します。
大譜表は左もありますから、同様に目が移動します。その指示を受けて、左手、右手が鍵盤をたたきます。
私たちはどんな文章でも読むことは出来ますが、それと全く同じです。音譜を一音ずつ読んでいるのです。打鍵と言う作業がありますから、そのタイムラグを防ぐために先読みをする訳です。先読みするという事は、動作が常にワンテンポ遅れているのです。この初見演奏は、データとしては残りません。初見演奏が得意な人は暗譜が苦手、の理由はここにあります。読むのに精一杯なのです。
だから。楽譜がないと何も弾くことは出来ません。ハードディスク(脳)の中身は空でいいのです。
暗譜をする人は、真逆になります。全てをハードディスクにため込みます。ですから、楽譜はいりません。脳内にいっぱい楽譜があるのです。ですから、覚えるには相当な時間が必要です。しかし、覚えたら多分死ぬまで有効です。
初見演奏のみの人は、一生楽譜なしでは弾けないでしょう。暗譜は非常に大切なのです。また、暗譜が遅いからと言って悲観することもありません。
世の中に、早くて良いものはそうありません。必ず弊害があります。
100曲暗譜するのに一年の人は、3曲暗譜の人よりも何か足りないかも知れません。遅い人は、一生懸命壁塗りをしているのかも知れませんね。そう思います。私は。
八方美人、頭脳明晰の人、有名大学出の人など、切れる人頭の回転の良い人、は何か足りないなと思うことは良くあります。
浅いのです。
下に初見演奏の目の流れを記しました。
自身が実験をしていないので、順序は分かりませんが、以下の通り目は行ったり来たりジグザグに動きます。
流れは常に右なので、右の音譜を把握します。和音(串団)を右方向に把握します。同時に、音譜以外の記号を把握、音譜の長さを把握します。一列の情報を指に伝えます。串団子の初音の位置まで腕を動かします。打鍵します。
二列目の情報を元に、指位置を移動させます。以下同様。これに、左手が加わる訳ですが、することは
同じです。
大変な情報を読みとり、絶え間なく行動を起こしている訳です。
目の負担は相当大きいと思います。
和音をパターンで捉えると言う人もいます。本当に串団子で捉えるようです。
脳内のエリアには、音楽専用・ピアノ専用のエリアが作られますから、串団子はそちらにストックされます。
基本の団子は決まってますから、すべてバリェーションになります。和音大好き人間は多いですから、パターンで捉えるのは理解できます。
この様に、ピアノの位置関係が正確に再現できるならば、読むだけとなります。
特技なのでしょうが、目の為にもやりたくはないですねぇ。役者でも台本は覚えるのに、ぶっつけ本番なんて特殊すぎます。
ゆっくり練習できないなんて、寂し過ぎますね。はっきり言って、そんな演奏聞きたくはない、のが正直な所。
打ち込みと同じじゃ、感動もそのレベルになっちゃいます。
リストは初見の名人であったとか。プライドも相当に高かったらしい。ピアノにはそんな危険な魔力がありますね。
分厚い楽譜、適当な所をパっと開きスラスラと弾く・・・。誰でもそうなりたいと思います。
でも、そうだったら・・・、つまらないとも思います。人間は、普通にできる事に感動はしません。絶対に。
ピアノを弾いたことのないおばさんが英雄ポロネーズ弾きまくったら、感動します。
音大の生徒やピアノ教師が弾いても、驚かないな。
そんなものです。