今日はタムロン28-200mmのお話。
いえいえ、現行商品ではありません。1992年に発売され世界的に爆発的にヒットし1996年に初代の生命を終えた、
かの有名なAF 28-200mm F/3.8-5.6 Aspherical タムロンモデル名71Dのことです。
当時としては珍しい総エンジニアプラスチック製(マウントは金属)の、のっぺりした高倍率ズームでありました。
なにしろ前玉が大きいのです。おまけにプラスチックモールド非球面レンズ。つまりアスフェリカルなのであります。
見た目はいまいちなのですが、思ったより良く写るのです。というより当時としては非常に良く写るレンズでありました。これがあんまり凄いのでニコンもキヤノンも同様の高倍率ズームは当時製品化しなかった、とtokyoは勝手に解釈しています。
さて、16年経ったデジタル全盛の現代でこのレンズは使えるでしょうか?。
テストをしてみました。お断りしておきますがテストレンズはジャンク品として入手したものです。
レンズのくもり等の劣化は相当にあります。また金属等の反射部分に激しい色のにじみが見られますが、
経年による乱反射なのか元からそうなのかは判断ができません。人間の目はそれらを許容してしまうようで、
それが柔らかな描写になっていることは否定できません。以下はテスト撮影画像です。曇天。
細部の分離は良くありませんがスナップレンズとしてはどうでしょう。
最短撮影距離が2メートルなのでバイクにはピントがきていません。クローム部分にはハロが出ています。ヘッドライトもにじみがあります。しかしフイルムのような描写は何でしょう。ちょっと捨てがたい味があるように思えてなりません。(165mm相当 F5.6 1/200 )
こういう線のある被写体はボロが出やすいのですが、立体感のあるように撮れたと思います。
(42mm相当 F6.3 1/60 -0.3EV)
同じバイクでも金属部分が少ないと違った描写になります。
手前から突き当りまで破綻がありません。なるほど、昔良く路地裏を撮っていた理由が良く解りました。
(42mm相当 F6.3 1/60 -1.5EV)
にじみがありますが微妙な質感が出ているようです。
テントが白いので描写が気になる所ですが、普通に撮れています。この普通さが貴重なのです。
(42mm相当 F6.3 1/60 +0.6EV)
この色合いは・・・、どうしてこのようなレンズで再現できるのでしょう。
金属部分は色にじみが目立ちます。しかし何でしょうかこの雰囲気は。
まず、これ以上はない位の難しいシチュエーションです。ほぼ感じた通りに描写してくれました。路地の明るい部分が適度に描写されています。タムロン恐るべし。この味が良いのか、現代のレンズが良いのかはコメントすることができません。(60mm相当 F4.5 1/30 -1.6EV)
かなり驚きました。この光線状態は逆光でコントラストが強く、厳しい場面です。
植物の実にはやはりピントがきていなく塀にきています。手持ちの開放ということを考えると確かに凄いレンズなのではないでしょうか。(75mm相当 F4.5 1/30 -1.6EV)
薄暗いけど格子が気になってとっさにシャッターを切りました。デジタルカメラとの相性はかなり良さそうです。
(42mm相当 F4.5 1/50 -0.6EV)
共通データ:レンズ タムロン28-200mm(71D) カメラ ソニーα350 手持ち撮影 RAW)
どうでしたか?
ジャンクとはいえ使い方次第では、まだまだ現役が可能なのでは・・・・。
機械とは言えどいずれ役目を終える時が来るのですから、一枚でも多く作品を撮ってあげることが
写真家の使命なのではないでしょうか。