ヘッドのアジマスの調整には、リサージュ波形が必須である。 高音が籠って聞こえる場合や、録音再生時左右のレベルが合わない場合はアジマスの狂い疑う。これには基準となる信号が必要である。テストテープもしくは発信器を使うが、簡素化ならばCに録音されたスイープ信号や、デッキ内のキャリブレーション信号を使うと比較的簡単である。当然だが、アジマス狂ったデッキでテストテープを作ってはならない・・。
リサージュ波形は左右均等出力だと同相になり、45度の線になる。左右のレベルに差があると値は傾きだす。周波数の低い帯域では大抵45度になるが、高域に行くにしたがって波形は変化していく。テープの状態によってある帯域だけ逆相になる場合もある。この場合はしばらく走行後正相に戻る。
波形の大きさは拡大して表示している。高域ではレベルが低下するので、実際の波形はかなり小さくなる。ソフトには20倍までの拡大機能があるので、適宜利用する。
左右のレベル差がある場合。
真円から崩れはじめる。
左右のレベル差の例。
アジマスがずれ始めてくると
直線でなくなる。
次にこの状態。
この状態から真円になる。
真円から逆相になった状態。直線になることもある。この状態を通り越して360度逆相になることもある
TC-K555ESL、低域と高域のレベル差が-0.5dbと非常に小さい。 TC-K5では-7dbと低下が激しい。
ナカミチ581。ソニーに対し、-0.5~-1dbと優秀である。
+のマークはアジマスの調整前のピークレベル。
アジマスの不良。
調整2。
リサージュ波形は10倍ないし20倍に拡大したもの。ここからは微妙な調整が必要。
調整前。アジマスの狂いにより出力が低下、
基準となる周波数も大幅にずれている。
調整1。
8000Hzで追い込んでも、15000Hzではレベルも違ってくる。8000Hzで調整、15000Hzで確認の作業を繰り返して
そこそこのレベルに到達したが、妥協は必要である。
ドライバーでネジを少し回しては再生や、録音再生の繰り返しで、しまいには何をやっているのか全くわからなくなってしまうのだ
左右レベル差は少し開いたが、ピークレベルは僅かに上昇。
これで一応の妥協点とする。
便利な世の中になったもので、高価なオシロスコープなどの測定器を買わずともネットにはフリーの測定器ソフトウエアがある。素人にはこれで充分であろう。
ただ、使いこなしにはある程度の技術と、デッキの分解等知識が必要不可欠である。