接客は商売の基本です。販売職も、営業職も、ホテルや旅館の従業員も、役所のカウンター対応者も、バスやタクシーの運転手も、居酒屋のアルバイトも同様です。最も重要な職で、この人達が違いないと会社は回りません。しかし、会社の見方はまるで違います。
事務や生産は流れなので、こちらを重視します。重視と言っても給与は高くしません。むしろ安いのが普通でしょう。
業績が低迷し、人員を減らすとしたらどこでしょう。はいそうです、営業職や接客職です。なぜならば、事務部門は比較的人員に余剰がありません、欠員が流れを止めるからです。また、事務職はノルマが無いので、ストレスにより退社も少ないですね。そもそも、未経験者は雇いません。それに対して、販売員、営業員は未経験でも問題がありません。ここに、根本的な問題があります。会社の見方は、経費に見合わない業績=売り上げは、減らさないといけないのです。ですから、営業・販売はリストラされます。
工場のある会社ならば、生産が落ちればその分人員を減らさなければなりません。リストラとなりますね。
接客にはクレームもつきものです。本当のクレームもありますが、お客様の認識不足の事もあります。また、常習のクレーマーも存在します。クレームまでいかなくても、対処次第ではお客様を失う事もあります。
さて、そんなこんなで不満が鬱積する接客業ですが、不満ばっかりでは落ち込みますし、第一仕事が楽しくありません。
気持ちの持ち方と、仕事に対する意識の持ち方でずいぶん楽になる事があります。
それは、お客様の気持ちを知る事が一つで、もう一つは、自分を変える事です。自分を変えるなんて無理、と思ってはいけません。ほんの少しずつ変えていけば良いのです。
お客様の気持ちを知るって、どんなことなのでしょう。良くお話しを聞くってことなのでしょうか。いえいえ、それだけではありません。簡単に言えば、お客様の行動パターンを知るという事です。
仕事に対する意識ってどうでしょうか。一通りの事が出来れば一人前ですが、それってプロでしょうか。貴方は、お客様に
プロって言われたことがありますか。いえいえ、逆です。プロと言われたら未熟なのです。
接客やサービスに関する本も多いと思いますが、無駄ですのでやめましょう。
これらの問題を解決するために、どうしたら良いのでしょうか。
残念ながら、簡単ではありません。勉強が必要です。いえいえ、紙もペンも入りません。必要なのは行動です。
これには、大事な自分の休日を充てる必要があり、交通費などの出費も必要となります。
つまり、現場を見る、という事です。そう、他の職場、接客の場を見に行くのです。もちろん、通りすがりのお客様として。
デパートや専門店は、接客の宝庫なのです。一人のお客様として、接客を受けるのです。デパートなどでは、椅子があれば
ゆっくりと座りながら、観察をします。これは接客だけではなく、同僚との会話や歩き方まで観察します。
これを、何度も繰り返します。そうすると見えてくるものがあります。大型デパートの品格は、その人達で作られていると、
感じられるはずです。自分だったらこうしないって思う事もあるでしょう。それでいいのです。
1000人いれば、1000人とも違う事に気づくかも知れません。あるいは、同じようだと感じるかも知れませんね。
そのような大規模店でも、極端に売り上げを伸ばす人は必ず存在します。そして、売り上げナンバーワンの人が
パートタイムや準社員などの出向社員、だったりして驚きます。この様に、正社員でないことが多いかも知れません。
では、なぜそんなに売れるのでしょうか。売れる人には共通点があります
一生懸命なのです。良くしゃべります。笑顔が絶えません。裏表がありません。決して出しゃばらないのです。
つまり、お客様と同僚の差のない接し方なのです。目標意識が非常に高いです。今日売らなければならない金額と、売り場の予算を常に考えています。売り場の予算が達成したら、我が事の様に喜びます。
家に帰っても仕事のことばっかりです。仕事命なのです。そして何より、普通のオバサンだったりします。仕事以外知らない人がほとんどです。
それでは、何故そんなに頑張るのでしょう。仕事が生きがいなのでしょうか。いえいえ、そうではありません。
しっかりとした目的があり、そのために頑張るのです。それは、とてもささやかな事だったりします。
家計を助けるためだったり、孫に何かを買ってやるためだったり、息子に家を買ってやるためだったりします。
頑張らないと、そう、頑張らないと夢が実現出来ないからなのです。
特別なことは決してしていません。お客様の気持ちを知る、そのお客様の立場を最も良く知っている・・・、それだと思います。
自分がイマイチだと思ったかも知れません。それでいいのです。胸襟を開いてお客様に真心で接する、それが終わりのない始まりです。
犬は0.3秒で相手を判断します。人間もそれほど変わらないと言います。吠えられるのは決まってます、犬が怖がっているからです。
私は犬が大好きですが、むやみに近づいたり頭を撫でようとは決してしません。不意な行動は犬が何より嫌がるからです。
私が犬に近づく時は、遥か彼方から犬が存在に気づく前から、行動を起こします。警戒を和らげるように。話しかけながら、笑顔で近づきます。
この時に大事なのは、無心になる事です。自分が相手(犬)を警戒していたら、直ぐに伝わってしまいます。
ですから、嫌々仕事をしていると、お客様は直ぐに見抜いてしまいます。どんな事があっても、表に立ったら常に平常心を保たなければなりません。鏡を見る事は必要ですね。ピカピカに磨いた歯は、お客様に笑顔で見せましょう。
さて、接客業でやってはいけない事があります。
それは、慇懃無礼です。インギンブレイと読みます。必要以上に馬鹿丁寧という事です。
お客様には慇懃無礼で接し、社員にはタメ口、怒鳴り飛ばし、そんな社長がいて落差に笑いましたね。ちなみに血液型はAB型です・・・。
慇懃無礼に気付かぬ人もいますし、見抜く人もいます。
慇懃無礼には心が全く入っていませんから、してはいけません。
フランクと言うか、馴れ馴れしいと言うか、傍から見ていかがな物かと言う事も沢山あります。言葉遣いの悪い人は何処にでもいますね。
慇懃無礼と違い、環境や性格から来ていますから直すのはまず無理です。関西人が東京で標準語を使わないのも、良く知られている事です。
非常に自意識が強いですね。
ネットで調べたら、社長の血液型はO型が多いのだそうです、トップセールスはB型らしいですね。なぜ優秀なB型が社長にならないのかと言うと、最初から社長を目指していないからとだ思います。野心はないですね。しかし、B型はおだれられると弱いです、ほんと。
職場の人間関係で悩んでいる人も多いと思います。これが問題なのは、お客様と違い常に身の回りにいるからです。
目障りになるのですね。しかし、相手が辞めるか移動でもしない限り避けられないことになります。
それが上司であっても、同じ雇われなのですから気にすることは有りません。
昔、他の会社にいた頃、社長が言ってました。嫌な所を見ていたら人は使えないと。名言だと思います。人は利用されるために、雇われます。利を用いる訳ですね。嫌な人間がいたら、嫌な所を見ていたら人は使えないを思い出しましょう。
嫌な人間でも、利を探せば一つぐらい出てくるかもしれない、そう思いましょう。嫌な人間を食わすために働くわけではありませんよね。
物やお金を盗んではいけませんが、他人の良い所はどんどん盗んで身につけましょう。良い所を知るという事は、悪い所の裏返しですね。何がいけない事で、何が必要な事かが分かれば、接客業も一人前と言えます。そんな精進は、お客様に必ず伝わります。
常にお客様の立場に立って考えるようにしてください、そして行動してください。
貴方の目の前にいるお客様は、とても大事な用事で来ているのかも知れません。お客様にとって一生の記念なのかも知れません。貴方の笑顔をやちょっとした対応が、お客様の歴史に刻まれる事もあるかも知れませんね。
人生は一期一会と心得ましょう。
お客様が、いつの日か貴方の接客を思い出し、誰かに勧めてくれるかも知れません。貴方がたとえ職場を去った後でも、貴方の行動は財産として残るのです。世の中は、そんな出会いに満ちています。
誰にも、同じ心で臨みましょう。
老若男女、大人子供にかかわらず、平等に接しましょう。
子供の頃に受けたことは、一生忘れる事はありません。良い思い出が残せたら、幸せですよね。
変えられるのは、若い貴方だけです。
年を取ると変化が出来なくなります。それで何十年も生きてきたと言うプライドはなくなりません。変われるのは若い貴方たちだけであり、会社を変えていけるのも、貴方達です。
もし貴方がコンビニエンスストアで働いていたとしたら、お釣りを渡すときにどうしてますか。
お客様の手に両手を添えて、しっかりと触れて渡していますか。
それとも、手のひらにすとんと落としますか。
どちらでしょうか。
実は、若い店員さんはほとんどが、釣銭を手に落とします。接触を嫌いますね。レジに並ぶ前に大体わかりますし、十中八九当たります。髪を染めていたり、不愛想なのも共通ですね。そういうコンビニエンスストアには2度と行きたくないと思いますが、近場で止むを得ない事も多いですね。一通りの教育は出来ていても、接客業としてはどうでしょうかね。
コンビニエンスストアのレジでも、私は立派な職業と思っています。
同じ店で何度もやられた場合、対応策として、私はお釣りが手に落ちる寸前に手を引っ込めます。お金は散らばってしまいますよ。もちろん、私が拾います。これが何よりの指導です。そうでもしなければ、釣銭落としはなくなりません。
ネットでも多くの書き込みがあります。「空中から硬貨を落下させるのだけはやめてほしい」なんですね。同じでした。
あと、都心では外国人(アジア系)のアルバイトも多いですが、基本笑いません。笑顔の習慣はないのですね。釣銭落下も多いですね。
膝まづいて接客。
お客様が椅子に腰かけている場合、目線が同じ様になるためには、膝まづいて接客するしかありません。
私の勤めていた会社では、社長も含め全員がこれでした。完全に膝を床(カーペット)に付けます。
これは、誰に言われる訳でもなくそうします。膝を付けるのはやりすぎ、非常識と言う人もいますが、それは間違いです。
なぜならば、目線を合わせようとすれば、必ず膝が付きます。膝まづくのが重要ではなく、目線でやり取りするために必要不可欠なのです。
ですから、媚びてる訳でもなくそれが美しい所作だとは、思っていません。多くの人が誤解をします。
何故に目線でと言うと、相手の目が見えないと、満足しているのかどうかが分からないからです。目は口ほどに物を言うのです。
これは強要される所作ではありません。もし、就業規則やらで強要するならば、誤解のないよう伝えなくてはいけませんね。その前に、経営者も含めての実践が必要なのは言うまでもありません。
これを実践している物にとっては、膝まづく行為は全く問題のない自然な行為でしかありません。釣銭落下よりテクニックはいらないですよ。
折り目の付いたズボンが汚れる?、ストッキングが痛む? そもそも汚れるほど汚くないですよ。ストッキング?、制服と同じですから・・・。
私の通っている大学病院。超大型なのだけれど、事務員さんや看護師さんが座っている患者さんの所に来て膝まづきますね。
呼ばれた患者さんが立とうとすると飛んできて、立つのを制します。そして膝まづく訳ですね。
これらの行為は、目線でのやり取りが必要な場合で、喫茶店での注文取りや飲料の持参時にまで必要なのかは店の形態によることでしょう。
頭を下げる。
頭を下げるのは、外人(欧米人)はしないですね。その代わり握手をしますね。それが習慣です。
ここで気付きます、ホテルでも受け付けの人は「いらっしゃいませ」は言うけど、最初に頭を下げる事はあまりしませんね。
頭を下げる行為には、単なる挨拶でもあれば、「ありがとうございました」の意味もあることでしょう。謝る時もそうですね。ただ、頭を下げる文化圏であることは、とても重要な歴史的文化なので決して無くしてはいけません。
お客様に、頭を下げられることもありますね。感謝されて頭を下げられたら、本当に嬉しいですよね。
礼法・作法における「お辞儀」と、単に頭を下げるという事は全く違います。ちゃんとしたお辞儀は慇懃無礼にもなりますから、頻繁には使うのものではありません。会釈で良いのです。日常頭を下げる行為は、簡単なお辞儀になります。
くれぐれも、人格との落差がないように精進しなければなりません。お辞儀だけの人間は見破られます。
接客業に笑顔は絶対条件です。
接客で笑わない人は多いですね。そういう人でも他では笑っています。接客業でありながら、人と会うのが苦手、話すのが苦手の人は多いです。
これはもう訓練しかないです。訓練しなければ変わりませんが、訓練すれば必ずできるようになります。
そもそも、努力が足りないのです。お客様も同じなんです。フロントや、お店の店員さんに話しかけるのが苦手な人は沢山いますよ。商品を見て、親切に勧められたら買える人は沢山います。買う人の次に来るのは、購入予備軍です。多くは、この芽を摘んでいます。お互いに怖がっていては、お互いの目的を脱します。高級ブランドのブティックに入れない人は沢山います。敷居が高いんですよね。
その敷居を更に高くしてはいけません。貧乏な人が翌日に大金持ちになったり、貧乏そうに見えても実は大変な大金持ちなんて良くあります。
笑顔と優しい気持ちは、敷居を低くします。沢山お金を持っていても、全く使わない人はいます。お金の使い方を知らないんです。そんな人は、店員さんに親切にされて気に入ると
信じられないくらい買い物をします。店員さんと話がしたくて通うと言う、お金持ちのご老人を何人も知っています。
絶対にこの店員さんでなければダメ、と指名買いするお客様は非常に多いです。誰よりも私の好みを知っている、からなのです。
こういう店員さんは絶対に商品を勧めません、売りに出ません。お客様からお薦めの要望があります。その対応は神対応です。驚くほどの早さでピッタリの商品を選び出します。実は、商品入荷時や仕入れ時にお客様を思い描いて仕入れ(展示)するのです。場合によっては、店に出さずお客様用としてストックすることも珍しくありません。お客様が見えているのですね。気に入った商品の入荷が無い場合、お話だけしてそのまま帰すのが常です。絶大な信頼関係が築かれているのですね。
お金は使わなければ、ただの紙です。そのお金が、使い方により誰かの心を豊かにするかも知れません。
多分、そんな店員さんはブティックや洋品売り場じゃなくても、きっと、同じように慕われるはずです。
そんなに沢山売り上げても、時給や給与が格別増える事なんて全くありません。
そんな人たちが、社会の歯車を回しているんです。
このように、何千万も売り上げるパートさんも、フロントで応対する人たちも皆同じ接客業なのです。
何千万も売り上げるパートさんの方が、社員の若い女の子よりきっと年間収入は低いですよ。人生って、そんなものです。
自分の仕事に誇りを持ちましょう。
信頼されるようになりましょう。
優しい心を持ちましょう。
笑顔を絶やさないようにしましょう。
未来は、貴方達が造るのです。