あはははは。またまたわしじゃわい。
ニコンFと同時代に展開したニッコールオートレンズ35mmじゃ。
1960年代に発売という気の遠くなるような昔の話である。
ずーーーーっと35ミリは探していたが購入にはいたらなかった。理由。あっても高い。
性能いまいち。いわゆる中庸なんですな。それで高ければ買えない論理。
もう限界なんでやっと買った。同じ価格でニューニッコールもあったけど、一もにもなくこれにした。
理由は。オートニッコールだったからである。梅鉢はいいのだ。金属の量多い目いいのに決まっている。あははは。
余談だが写りは断然にニューニッコールが良いらしい。 以下所感。
フードを装着すると、
ちんまりしたレンズがいきなり1000党体制にもとい戦闘態勢になる。このギャップが凄い。
金属フードはやはり結構なお値段がする。
フードにはしっかりとFの文字が刻印してある。
F用に造られたレンズであり当然なのだろうが、
このレンズはニコマートにも着いたのだから、かなりのインパクトはある。なにせニッコールレンズなのだ。
爪があるのはフォトミックファインダー用であり、マニュアル露出ならば必要はない。鋏に露出連動ピンと言うものをチョコンと挟んで絞り値を露出計に伝えるのだ。
良く考えたと言えばよく考えたけど、これが後々までピンならず足を引っ張ることにもなる。
ニコンの偉いのは、何とか工夫してレンズを使えるようにしたことだ。レンズは命であり、やはり日本光学はレンズメーカーだったから命を守るのは至極当然だったろう。伊達や酔狂でモノは造っていない。その気骨を感じるではないか。
レンズを大事にすることはカメラマンの義務である。いやいや本当だ。粗末に扱っては絶対にならない。そんな気概でモノは造られたのだろう。カメラマンの期待に答えるために設計者は奮闘努力を重ねて行ったと思う。それがひしひしと感じられるのがニッコールレンズなのである。
フードは35mm専用ではない。
35mmF2、35mmF2.8、43-86の刻みがある。
このテーパーが好きな人もいるだろうし、嫌いな人もいるだろう。わしは金属ならなんでもかまわない。
というか、このフードはなかなか洒落ていると思っている。昨今はフードがエンプラになってとても残念に思っているが、時代の流れでこれも仕方がない。
頑丈なレンズには頑丈なフードが必要だと、個人的にはいつも思っている。ペンタックスの35mm用だったか、角型のメタルフードには羨望を思える。二重になっており回転するから角型でもよい訳だ。花形よりはずっと高級感がある。
残念ながらペンタックスは揃える余裕はない。
日本光学製の頑丈なリアキャップ。
今お持ちのと比べて欲しい。
内側にはやはり「F」の文字がある。
軽視されがちだが、ないと絶対に困るのがリアキャップだろう。ほこりが侵入するぜよ。
またリアレンズはキズ付けるのはご法度でもある。
重要度がとてもある場所なのだ。
後方から見る。
やはり堂々としたリアキャップである。
レンズの前面のテーパー部分に白で墨入れがなされている。これはニッコール初期のレンズの特有のものである。
個人j的には歓迎なのだが(威張りりが効くであろうむふふふ)、後に撤廃された。
レンズにロゴが写り込むからである。テーパーが廃止され平坦になって暫くは続いた。
しかし、デザイン的にはこのテーパーのあるのが一番良い。
前面の墨入れ文字の白と外周の白が全く違う色である。外周は年代相応に焼けて黄ばみがある。
それに対しレンズ部分は真新しい。ルーペで厳しく観察したが良くは解らない。
これが梅鉢型のリング。
指かかりが良く使い勝手は問題ない。このレンズに大きな傷やすれはなく、小さなアタリがある程度。
わりと丁寧に使われた個体と思われる。
ただし、ねじに外した痕跡が見られる。また一部のねじは塗装していなく新しいネジだったりする。
ちょっと不思議な履歴がありそうなレンズである。
こちらは絞り環部分の拡大。じつに綺麗な色バランスではなかろうか。
この色は右に掲載の被写界深度とリンクするものである
塗り直しかもしれないし、キャップをして撮影自体はあまりしなかったレンズなのかもしれない。
レンズには軽い黄変か見られる。このレンズはマルチコートレンズCタイプではないが後期型のものである。
カラフルに色分けされた距離目盛りと絞り数字。例えばピンクの絞りF8を黒●に合わせると、被写界深度は距離環↑より左右の同じピンク色までが被写界深度となる。
この辺の色落ちや剥げはなく、
なにより色が鮮明でびっくらこく。
黒●指標(絞りリング)と↑指標(ピントリング)
ピントリングの目盛りは
緑、ピンク、黄色、水色と大変に美しい。
ゴッツイニコンレンズのイメージとはかけ離れた、
とても優しくフェミニンなパステルカラーである。
反して距離目盛などはくっきりハッキリした書体で、
いかにもニコンらしい。
無限マークなどは見ているとむむむっと唸るほどに
味がある(ないか)ものである。
指標の間のマークが赤のマルでありこれも、良い。
被写界深度指標の拡大。
間違いなく、
パステルカラーである。
赤のポイントが効いている。
前後の梅鉢リングはデザイン的にも良い。
梅鉢先端部分にテーパーを付けるのは、このシリーズ共通の物である。これによりかなりスマートに見える。
小型のレンズのわりには口径が大きい。後年作られたニューニッコールの方が口径は小さいらしい。
それでもレンズが分厚く明かるいのだそうな。
個人的には口径というか、前玉が大きいのが好みである。 しかし、他社でもそうなのだが35mmというレンズは最高級レンズを除くと押しなべて口径が(前玉ね)小さい。
じつは、明るければ良いという物ではないらしい。
暗いレンズの方が良く写るんだそうな、やっぱり。
35mmF2.8は二種類存在していた、そうな。(ニコン資料による)
その辺の経緯はニッコール千夜一夜に詳しいので参照されたい。
じつはニコンFと同時発売されなかったのが不思議に思っていた。
製造は困難を極めたんだそうな。それで2ヵ月後にやっと発売される。製造が困難、それではイカンということで
すぐに設計変更され35mmF2.8がリニューアルされたとある。これが当個体の後期型である。
それでもなんと数年もかかったそうな。
驚くのはニューニッコール35mmF2.8はそれから十数年も経ってリニューアルしている。
いかに35mmレンズというものが難しいレンズかが良くわかった次第。疎かにはできませんなあ。
考えるとこのレンズは10年以上発売されてきたニコンお墨付きのレンズ、なのである。
描写はニューニッコールが歪曲が完璧に補正されているが、ボケがやや硬いのだという。
ニッコールオートは収差が残っている分ぼけが柔らかいということらしい。味なのである。
(参考:ニッコール千夜一夜)
ニコンレンズには爪がある。 いやもうないのだった。
その爪なんだけど、ご存知の通り三種類あるのだね。
初期の富士山型と、その後のかに爪と、最終形の豚の鼻型ね。
当個体はかに爪。43-86の初期型でもかに爪。富士山は少ない。
なにせ尖っているのでね、丸くしたのは想像に難くない。初期のF発売時のパンフレットなどには富士山型の
オートニッコールが載っているが、ニコマートの時代もそうである。
1965年発売の、ニッコールオートS 55mmF1.2も富士山型の爪である。
短命だったには違いがない。まあ、豚の鼻になるほど性能は向上するから無理して探すこともないだろうね。
あはははは、さがすか。
つづくぞ。