分析と言っても機械を使う訳ではありません。(第一カメラを持っていないので)あくまでも写真を見た感覚的なものなので参考までに。
暫くシグマの画像を見ることは止めていましたがSD-14が発売されたこともあり、暫くぶりに閲覧と相成りました。そこで感じたことを述べてみます。tokyoはまだレンズ以外シグマの製品を持っていませんので、デジタルカメラの画像の評価はもっぱら第三者的観点からになります。
精緻な描写が目に付くFOVEONセンサーの画像ですが。印象的に再現する色は、
黄色、青、ピンク、オレンジそして黒と白です。とりわけ白の表現が良く、コダックのコダクローム25のフィルム乳剤が当たったときの白、純白を適正に再現するようです。他社の高画素のカメラと比較しても、黄色は全く表現が異なりポジを透過投影しているような抜けるような透明感を持って再現します。
ですから、黄色は記憶色そのもので再現されます。青はFOVEONブルーと言うそうですが、かなり色が転びやすくまあ空の色に対してはあまり期待はできません。それ以外の青は純度が高くこのFOVEONセンサーならではの発色が見られ満足の行くものです。オレンジの再現が非常に良くこれほどオレンジ系の色を見栄え良く表現するものをtokyoは知りません。その分赤がオレンジによりがちな事があるかも知れませんが、紅葉を見る限りまあ心配のないレベルと思います。
黒の再現はピカイチ。実際に日中の自然界には黒は存在しませんが、黒色に塗られた物を非常に自然に再現します。tokyoの収集したサンプル画像には、タムロンのレンズで(当然シグマ以外のデジタルカメラ)同じ場所を撮影した写真があります。タムロンはデジタルカメラを持っていませんから当然他社のセンサーな訳で、違いが良くわかります。
タムロンの画像はレンズのカタログですから、写りの良さに驚きました。印刷ですので元画像はもっと透明感があると考えられます。これはどちらが優れた画像か判断できないレベルのものでした。シグマの場合はパソコン上の画像とは言えSD-10もしくはSD-9の画像なので、驚嘆に値することは間違いありません。
FOVEONセンサーの黄色や青は記憶色に近いと思われますがtokyoにはそれが非常に好ましく思われます。tokyoはもともとビデオカメラを長くやっており、真空管の撮像管の色再現の悪さには諦めを感じていた時代がありました。以前写真を一時止めたのもフィルムの色再現が良くなかった事に多く起因しています。
ですからtokyoは色に非常な拘りを持っています。
FOVEONセンサーの再現するピンクの色は、はっきり言ってショックです。このように透明感あるピンクを再現するデジタルカメラの画像に出会ったことは未だかつてありません。再現し難い色の純度を高く再現できるのはこのセンサーの特色なのかも知れません。
考えてみてください。線の細さは解像度です。
その線の細い画像にピュアな色が乗るんです。これで画像が悪い筈がありません。風景、遠景、街並みなど込み入れば込み入る程その線の細さは生かされ圧倒する描写となります。丸ペンで描く漫画とGペンで描く漫画と同じ位の差がどうしても付いてしまいます。これがFOVEONセンサーの恐ろしさです。もしFOVEONセンサーが2000万画素の三層構造になったらどうしましょう、と言うのが偽らざる本音です。
黄色が飽和しやすいとか、色が飽和しやすいのもFOVEONセンサーの現状であり、それ故ピーカン時など空の色が転びやすいのも作例からは良く見て取れます。
ただ、失礼ながらアマチュア諸氏の作品は見て感じる限りFOVEONセンサーの良さを生かす現像をしていなく、tokyoが収集した作例は残念ながら数点のみでした。現在までアマチュア諸氏の作例も相当数拝見しましたが、ある意味現像が未完成でありFOVEONセンサーの能力は十分に発揮されていないと感じました。
シグマのデジタルカメラを所有される方はそれなりにFOVEONセンサーに大きな期待をもって導入されている訳なので、現状のFOVEONセンサーの再現の能力とそれを再現する現像には少し注意が必要なのかも知れません。
FOVEONセンサーは繊細な描写が真骨頂ですから、当然向き不向きが存在します。繊細なら全てがOKと言うのが写真ではありません。繊細と力強さは相反するものです。また、色の純度が透明感溢れるのが良いかと言うとそうではありません。FOVEONセンサーの画像は繊細でピュアが故に、力強さと言う面では後塵を拝するのが現状と思われます。
ただ、印象と言う面で言えば、心に焼きつくのはFOVEONセンサーの捉えた画像になるかも知れません。
日本の原風景も街並みも地味なのが普通であり、FOVEONセンサーの良さを再現する情景は中々無いのかも知れませんが、美瑛の丘などはじっくり撮影してみたい風景のひとつとtokyoは考えています。
白神山地や沖縄も良いかも知れません。
現像が確かなら、人物撮影、特に写真館やポートレート写真家には良いカメラと思いますが、何せ撮る事とそれを正確に再現する現像とは別次元のことなので多分簡単に実現する事は困難でしょう。
以上tokyoなりに独断と偏見を以って分析してみましたが、結論は以下の通りです。
癖のある色を出す。
何処にも無い色を出しますが、それがあるから(良いから)欲しくなる。
緻密な画像である
他社の2000万画素を超える画像をみて驚くが、FOVEONセンサーの画像をみて更に驚く。
シグマのレンズは良い
シグマやタムロンのレンズを使っていて悪い(価格に比して劣る)と思ったことは一度も無い。
FOVEONセンサーの再現力を見て納得をする。
手ごわいカメラかも
フツーに撮ったら駄目かも。どう考えても現像が難しそう、手ごわさが伝わるカメラと思う。
鑑賞に堪える画像
輪郭補正は少ないほど良いし、本当は無いのが当たり前。線が細ければ気にもならない。
普通は10秒で粗が見えいやになるが、FOVEONセンサーの画像はついつい何度も見て
しかもその情景に入り込んでしまう魅力がある。鑑賞に堪える画面はFOVEONセンサーかな?
カメラはどうにかして欲しい
SD-14は実際に触ってもフツーぽくなったし、大きさも適度だが仕様も重要。
カメラを造るのは大変だけれども、レンズ陣がもったいないよー。
「後記」
将来FOVEONセンサーのライセンスが切れたとき、更新するのどうかかはユーザーには全く解りません。近い将来恐らくC-MOSもCCDも大きく発展を遂げるでしょう。高画素化はシグマのFOVEONセンサーの影響がなかったとは思えません。ローパスフィルターの影響を少なく感じさせるには、どうしても高画素化が必要な事です。CCDからC-MOSへシフトしている現在、色の問題は新たな局面を迎えることもあるでしょう。
プリンタが格段に良くなりましたね。
これはデジタルカメラの恩恵です。またTVも移行期間にあります。全てのTVが移行すると色や解像度が問われるようになります。
カメラに於いてもいままでの輪郭強調はデメリットになりますし、色の再現も今まで以上に問われるようになるでしょう。