B&Wは、10年使えるスピーカーシステムを作るのだという。
確かに、10年と言うスパンは短くない。 技術革新の時代において、10年使える物を作る
のは容易ではありません。 10年使えるという事は、10年後に出回っているものに比して
も遜色がないという事です。 簡単そうで、簡単ではありません。
企業ですから、10年間にわたって安定して売れないと成り立ちません。 安定した評価、
安定した支持層が必要なのです。
B&W 800D3は「何も足さない、なにもひかない」のがコンセプト。
今回のモデルチェンジでは、ウーファーの歪の低減が顕著とのことです。
ウーファーの高調波歪みが減ったとのこと。 高調波歪みは倍音に影響し、中域に影響を
与えるのだそう。 その歪の低減と、ミッドレンジに新採用のコンティニュアム・コーン
の色付けのなさがシステムを大きく変えました。 キャビネット形状は800Dと真逆になっ
ており、見た目はスリムになりました。
同時に台座も大きく変更され、800D3の台座は、無垢のアルミニュームで軽量化を図って
います。
下位の802D3とは見た目も大きさも重量もほとんど変わりませんが、ネットワークのコン
デンサと台座の材質が異なります。
B&Wのシリーズとして、一番最後に登場したのが800D3です。
&W 800D3 2019年 4,250,000円 (ペア 税別) サテンホワイトB&W 800D3 2016年 4,500,000円 (ペア 税別) ピアノブラック
B&W 800D 2011年 3,570,000円 (ペア)
年に10台や15台しか作らないスピーカーシステム、1500万円もするスピーカーシステムは作らない。 良いスピーカーを、より多くに人に届けたい、
そう言う理念がB&Wなのだと言います。
背面に設置されるネットワーク。 右が800D3.、左は802D3。
刷新された新型ウーファー。 800D3は左。
※ 資料は アスキー様のホームページより引用しました。
[評論家をけなしてはいけない]
こう言うスピーカーが出ると、決まって悪評を垂れる輩が出没します。 実は、売れる売
れないは支持なので、支持されるには支持される理由が存在しています。
多くのオーディオマニアは、自分のシステムが最高だと思う傾向があります。
客観的に見られないのです。 そう言う筆者も、そう言う輩の部類でした。
突き詰めていくと、独りよがりなのですね。 そして、勉強不足です。
世の中にはオーディオ評論家と言う人が存在して、常に新製品を評します。
まあ、新製品をけなす人は先ずいなくて、良い評価を下すことも少なくありません。
そう言う評価には、目くじらを立てるのですね。
けちょんけちょんに、けなす場合も少なくありません。 そんなに良いなら何故自分で買
わないのかとか、古臭いホーンシステムを未だに使っているとか・・・。
まあ、気持ち分からないでもありませんが、どんなに良くても買いませんよ。
価値観の問題です。 物と言うのは、どんどんと刷新されるものです。
どんなに良くても、スピーカーシステムをその度に導入はできません。
物理的にも、無理なのです。
評論家の方は、長年の経験で自分のシステムを構築しています。
それは、皆さんとなんら変わりません。 ただ、圧倒的に経験が多いのです。
そして、どれが正しい音なのか良く知っています。 自分にとって、ベストの組み合わせ
で鳴らしています。 だから、あえて買う必要もないのです。
[試聴室と自分の環境は違う事を理解する]
何か新製品が出ると、試聴会と言うのがあります。 高額製品は、普通の店には並ばない
ので、足を運ぶ必要があります。
製品の発表は、試聴室で行われるとは限りません。 オーディオショップの店頭だった
り、単なる場所だったりします。 いづれにせよ、自分の状況とは一致しましせん。
メーカーの試聴室と、オーディオショップの試聴室は根本的に違います。 ましてや、
オーディオフェアのような、にわか仕立ての会場は試聴室レベルではありません。
機器の比較は、一定の環境が確保された空間で行われます。 同一空間で、同一場所で機
器をとっかえひっかえ鳴らして比較します。
もちろん我々も同じようなことをしますが、最初から色がついているといって間違いでは
ありません。 なぜならば、色を消そうとすればするほど
無味乾燥な空間になり、音は潤いのないものになります。 その辺りを理解していない
と、判断を大きく誤るのです。
部屋で色がついたり、アンプで色がつくのはどうしようもないことです。 それだからこ
そ、スピーカーの音は素でなければいけないのです。
素なる再生の可能なスピーカーシステムは、個人の色を排除しますので、色の付いた音を
聞いている人は違和感を覚えるのです。
物足りなく思うのです。 繰り返しますが、筆者も同類でした。
オーディオと言うのは、本当に面倒臭いものです。
[リファレンスの音源を常に持つ]
これ以上に大事なことはありません。 何度もどころか、難百回も聞きなれた曲なりCDな
りが一番大切な再生手段になります。
あーっ、CDプレーヤーが違うとこうなるんだ。 あーっ、アンプが違うとこうなるんだ。
あーっ、スピーカーシステムが違うとこうなるんだ。
あーっ、聞く部屋が違うとこうなるんだ。 あーっ、コード類が違うとこうなるんだ。
と言うことなのです。
いつも聞く音楽が、どう聞いても差が分からないと言うのならば、それ以上の投資は無駄
になります。 自己満足で終わりましょう。
現実には、そうはいかないと思います。
えーっ、こんな音入っていたかなと思うかも知れません。 家で聞くのと全然違う、と思
うかも知れません。 大抵そうなります。
何も足さない、なにもひかないと言う事は、隠れたものも全てだ出しきることでもありま
す。
リファレンスに使う音源は、人それぞれだと思います。 歌謡曲をリファレンス音源と使
う人も、少なくありません。
筆者は、テレサテンのCDをレファレンス音源としています。 何枚かあるCD、同じ曲でも
微妙に違います。
ヘンリーマンシーニのCDも使います。
リファレンス音源に、デジタル物は合わないです。 CDの場合も、昨今のデジタル機器を
使った録音は比較には使えない、と思って差し支えありません
録音には様々な機器が使われており、所謂新しめの物は、加工食品の類と変わりませんの
で本質を見損ないます。
このリファレンス音源を誤ると、機器の評価も誤ってしまいます。