ナショナル(=テクニクス)のスピーカーユニットは他社にもれず複合型ユニットも多く存在した。 デザインは兎も角、音はまずまずの製品。 特性を平たんにするべく、工夫が見られる。見た目より性能ありきなのかも知れない。
昔は今のように前面のグリルを取り外すようにはなっていなかった。ただ、自作派はグリルなどしないので、見た目では損をしたかも知れない。
National EAS-25PX13 25センチ3ウエイスピーカーユニット 8500円 1967年頃
ツイターは5HH17と思われる アルニコマグネット使用 3個もユニットを使った豪華版ユニット。現在の貨幣価値で凡そ40000円弱。
アルニコマグネット使用
ナショナル EAS-20PX60 20センチ2ウエイ 16000円 1965年頃
アルニコマグネット使用 ツイターは5HH17
ツイターの周囲の不規則な楕円のバッフルは、特性を平たんにするための板である。
軸上の特性は平たんになったが、30度60度では極端に暴れた。
当時の16000円は、現在の貨幣価値で73000円位。べらぼうな高価格としか言いようがない。聞いていない(=買っていない)が特性は素晴らしい。良い音がしたのだろう。
National EAS-20PX85 20センチ2ウエイ 5400円 1967年頃
ツイターは5HH17 ダイキャストを贅沢に使用 現在の貨幣価値では25000円位。
残念ながら低域が弱い。
ツイターのバッフルをやめホーンにした。ホーン鳴き防止のため頑丈なダイキャスト製。
ホーンのせいか特性はやや暴れ気味。高域は透明性があって5HH17を彷彿とさせる。
ナショナル National EAS-20PX10 20センチ2ウエイ 4500円 1965年頃
ブリキのツイターヨークにフェライトマグネット 5HH17の姉妹品
総じてブリキ感のコストダウン製品 高域がだら下がり
現在の貨幣価値で凡そ20000円。低域はまずまず。
高域が5HH17とは違い伸びていない。 中庸を行くスピーカーユニット。
やや高域が強いが、それを良しとする人も多いだろう。
フォスター電機 FOSTER FX-201 20センチ2ウエイ 4900円 1965年頃
ナショナルとどちらが先かは不明だが、認知度ではナショナル。フォスター電機はOEMメーカーであった。価格的にはナショナルの20PX10に近いが、製品的には20PX85と同等である。
もしかしたら、このツイターは他社のOEMかも知れない。取って付けたようなエンブレムがそう感じさせる。作りは非常に良い。基本ナショナルの5HH17の流れを踏むものだろう。ヨークカバーからアルニコマグネット使用と思われる。
やや暴れがあるが、特性はナショナルの20PX85に似ている。
※資料はオーディオの足跡様のホームページ及びネットより引用致しました。
スピーカーユニットメーカーは、そのラインナップのなかに、コアキシャル(=同軸型)のユニットを配置している。需要は多くはないのだが、単発で2ウエイや3ウエイが構築できるのは大きなメリットと言えよう。第一箱が小さくできる。
指向性などユニットの配置に苦慮する必要がない点も大きい。
この国産同軸2ウエイの牽引車は、ナショナルの5HH17だったことは想像に難くない。
安価でかつ非常に特性が優れており、過渡特性が大きく非常に良い音がしたからだ。
OEM採用が増大したが、自社開発も容易なほど構造も材料もシンプルだった。
最も原価を考えると、5HH17に頼らざるを得ないのも理解できる。
ただ20PX85やFX201のような縦型使用ホーンは指向性が強く、失敗だったろう。