時代はデジタル時代である。
多くの技術者は、数十年前のオーデイオ黄金期を知らない世代だろう。
デジタルアンプ(Dクラスアンプ)などは1980年代には実用化されているが、主流になることはなかった。ほとんどがデスクリートアンプであった。
IC回路(チップ)を使用したアンプもオーデイオでは使われたが、ノイズの面でデスクリートアンプには及ばず、主にAVアンプにICアンプは用いられる。
AVアンプが安いのはこのためである。入力から出力の手前までデジタルのフルデジタルアンプも存在するが、範疇はソリッドステートアンプである。
特性的にアナログアンプを凌ぐデジタルアンプだが、不思議なことに高級オーデイオの世界には浸透しなかった。
相変わらずAVアンプはデジタルだが、新製品でもDAC以外はアナログ構成が採用。これは何故なのだろう。
デジタルにはデジタル特有の歪の問題が存在していた。それを打ち消すには、またデジタルで処理をしなければならない事実があった。
出てくる音は限りなくアナログ(原音)に近い。
しかし考えれば、一度アナログに変換し加工して戻して似せているに過ぎなかった。
これはデジタルカメラでも変わらない。一旦デジタル化したのはコピーになるのだ。本物ではない。創作されたものなのだ。
よくよく考えれば、ピュアオーデイオではない。バーチャルの世界なのだ。
マイクが拾った信号をそのまま増幅する。そこには雑音も載るが本来の信号には違いがない。
それに気づいた技術者がいる。