人間は取捨選択能力を持っている。
つまり、必要な物は残し、他は捨てるなりしまい込む。
耳もそう。マイクはそんな器用なことはできない。拾うのみである。人間の聴力曲線は成人すると押しなべてかまぼこ型に変化する。
感度が高いのは1000~2000Hzである。人の声と一致するそうだ。
聴力は20Hzから20000Hzとされるが、多くは50Hzから15000Hz程度であろう。しかし、実際はもっと高い音まで伝わっているらしい。
録音時のマイクには、無慈悲に全ての音が記録される。そのマスターテープにはまた無慈悲にも、雑音が付加される。
これらを除去しようとすれば、必ず元の音は失われる。アンプにローカット、ハイカットをしているものも実は存在する。
これはスピカーシステムにしても同様だ。それは不要帯域を無慈悲にカットするものであり、本来含まれていたものも無慈悲にカットされるのだ。
デジタルは更に酷い。ザルでこすのだ。本来あった歪も雑音も無慈悲にこされてしまう。デジタルは変化しないとの信念により、何度でも
繰り返される。実態は元とは似て非になる物を創造しているのだ。
つまり、音は製音されたが、音源の魂は完全に抜けるのだ。