B&W新スピカー
スピカーも新製品が出ているが、長らくそのシリーズを作り続けてきたB&Wの800シリーズがモデルチェンジをした。
量販店でも人気のB&Wだが、800シリーズはそのハイエンド製品にあたる。
B&Wのダイヤモンドシリーズには、ダイヤモンド結晶振動板のツイターが採用されているが、
数年前、何の前知識もなく聞いたときに不思議な感じがしたことを覚えている。
当初聞いたのは805Dだったのだが、高域の出方がまるで違っていて音場が拡散したからだ。
同じB&Wのダイヤモンドシリーズ以外ではそうはならないのだ。ツイター、スピカーが鳴って聞こえる。
これにはたいそう驚いた。それで、数年間にわたり各所で随分とダイヤモンド搭載のスピカーシステムは試聴を繰り返したのだ。
800Dや802Dを除くと、805Dは柔らかく優しい音だと言える。
しかし、800Dや802Dはヘルメットにちょんまげのそのヘルメットが為に音は全く異なると言って良い。
極めてフラットな、ソースのあらをさらけ出すスピカーであると言っても良い。アンプにより全く音が変わる、恐ろしいスピカーである。
しかし、最新のシステムは全く異なった音に変貌した。二機種を各所で試聴したが、旧805Dの柔らかさは消え、ツイターの存在も消えた。
音はシームレスに繋がったように聴こえる。非常に優れたハイスピードな音だ。
以前は、ダイヤモンドスピーカーの超広域まで伸びたさわやかさが、ある意味目立っていたのかも知れない。
それが、溶け込んだのだ。開発には7~8年かかったという。それ程にシステムは完成されており、またスコーカーとの繋がりにおいてユニットの開発が困難だったのだろう。これはハイレゾ対応などではなく、システムの問題を研究した成果なのだと思う。
これは旧シリーズのことだが、B&Wによると再生帯域はダイヤモンドユニットよりもアルミのユニットの方が帯域は広いのだと言う。
なるほど、筆者は以前カタログデータでアルミ使用の低価格機種、再生帯域が50,000Hzまでなのに対しダイヤモンド使用は33,000Hzとなっていて
疑問に感じていたのだ。再生帯域はアルミが伸びているが、共振のピークはアルミが20,000Hz程度に対しダイヤモンドは30,000Hz以上とさらに追い込まれていると言う。つまり、特性はダイヤモンドツイターの方が遥かに伸びているのだ。
高域で問題となる二次歪は共振周波数の二分の一で発生するので、アルミは10,000Hzと可聴域内。ダイヤモンドは16,000Hzとなり可聴域のレベルだが格段に減少する。多くの場合、この16,000Hzと言う周波数は音圧で20dbを下回るので気にはならないはずである。
新シリーズではダイヤモンドツイターそのものに変更はなく、収納キャビネットが空洞から共振を押さえるためにソリッドに変更された。
新製品が出ると、旧製品は昔のごとくに忘れ去られてしまうのが実際である。
しかしながら、旧ダイヤモンドシリーズがハイファイの壇上から消えてしまうことでは決してない。
しかし、もう購入はできないのだ。B&W805Dは歴史に名を残す名機として後世まで語り継がれることだろう。