アルテックで有名なのはシアター7.いわゆる劇場用大音響スピーカーシステムだ。当時の銀幕の裏のあるアレである。
劇場用であるが個人用で使う者もかなり存在した。基本は38センチとホーンドライバーの2WAYである。
まあ800HZとか1500HZでクロスさせる典型的な2WAyなのだけれども、6畳にはすこし大きい、いやとんでもなく大きい。
音は劇場のまんまと言って良い。なにせ、低音も高音もドライバーが強力なのだ。繊細さは望むべくもないが、
レコードをかけると不思議な現象が起こる。スピーカーの裏にボーカルが浮かぶのだ。というより、スピーカーの裏に人が居て
歌っている感じがするのだ。どくとくなこもり音。これがリアルさを際立たせる。
なんのことはない、再生する音場が狭すぎるのだ。少なくとも10畳や15畳ではだめだ。音が抜けない。数十畳は必要だろう。
しかし、独特なリアルさはこのスピーカーシステムならではのものと言える。
今風の小型スピーカーシステムがデジタルだとするならば、これは間違いなくアナログである。
しかも良い意味での。
ホーンが鳴くっていうのはこういうスピーカーを聞いて解るものだし、ホーンドライバの切れ味の良さも初めて解ると思う。
ただ、ユニットは単体でもべらぼうに高いので、システムを組むのは遠慮だろうな。
もちろん劇場用だから、JBLなんかとはまるで音が違うことは間違いがない。
オーデオって重いんだなって違う意味で認識してしまうのだった。
アルテックA7などオーディオの詳しいデータは「オーデイオの足跡」に詳しい。
http://audio-heritage.jp/
資料写真「オーディオの足跡」様から引用
アルテックA7 1970年代の劇場(シアター)を席巻したスピーカーシステム。
価格は20万円から90万円(1965年から2005年)
ホーン型2ウエイなので、音は典型的なホーン型2ウエイとなる。
大き過ぎて自宅に導入するべき製品ではない。 間違いなく良い音だが、決してハイファイの頂点と言う訳ではない。
近年のB&W801D4などと比べると音の違い(=傾向)に驚くはずだ。 趣味として理解するなら別だが、純粋にハイファイを追及する製品ではないかも知れない。 あらゆる点で無理なのだ。
あくまでも劇場用としての製品、と理解するしか選択肢はないとも言えよう。
当時アルテックA7を模したスピーカーシステムは、雨後の筍のように出没した。
家を新築時には、ホーン型主体でオーディオルームを構築する人も少なからず居た。
当時の箱型スピーカーは、貧弱だったからに他ならない。
オーデイオの全盛期・黄金期を経てスピーカーはハイファイ志向へと進化した。
2ウエイのシンプルな良さは認めるが、もうホーン型2ウエイの時代に戻ることはないだろう。
ユニットは販売していたが、普通に組むと35万円以上。1ペアで70万円以上。
塗装やら何やらを考えると、現実的ではない。
マルチセルラホーン 凡そ2万円から4万円
サイズにより300HZ、500HZ、800HZとカットオフが異なる。
ツイター・ミッドレンジ ドライバーユニット 凡そ5万円から7万円
アルテックに使用可能な現状のダイヤフラム。アルミ合金やチタンがある。
下図はタンジェンシャルエッジ採用。
口径は45ミリから70ミリ。ホーンと組み合わせ、500HZ~800HZから15000~20000HZを再生する。
ウーファーユニット 凡そ5万円から6万円
再生帯域は20~25HZから1000~1600HZ。
デバイディングネットワーク 凡そ4万円
クロスオーバーは500HZから800HZ。
エンクロージャー 凡そ17万円
影響を受けただろうスピーカーシステム
テクニクス EAB-3007 1966年 98000円~
ビクターBLA-60 1967年 206000円~
パイオニア EXCLUSIVE model2301 190000円~ 1978年
※ 資料写真「オーディオの足跡」様およびネットから引用しました。