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大人がはじめてピアノをやるために必要なこと。
面倒なことはしたくない、本音はしまい込もう。
⑥ピアノは脳活にはなるのか
ピアノを練習することは、認知症の予防や脳内細胞の活性化になるかは疑問。
そもそも、認知力とは記憶域の問題なのでそのあたりに問題があれば
ピアノを練習することは出来ません。 ピアノをやって向上する脳のエリアは同じではあ
りません。 よって、予防は出来ないと考えます。遮断されるものは遮断されるので
す。 脳の仕組みは信号の流れで、デジタルと何ら変わりがありません。
逆を言えば、脳のいづれかに問題があってもピアノは弾く事が出来る筈です。
つまり、脳の機能は活性化せず記憶域が増えたり減ったりする事とは
直接関係ないエリアの仕業で、関係がないと言えます。 どんな良薬でも、症状がなけれ
ば効かないのは自明の理です。 薬は予防にはならないのです。
それでは、あれこれと面倒臭いピアノの学習が本当に脳の働きに影響を与えないのでしょ
うか。 それは、あるとも無いとも言える事です。
ピアノを習得することは、大変な労力を要します。 押せば音の出る非常に簡単な楽器で
すが、音楽は時系列で並んでおりそれを再現するのは容易ではありません。
つまり、大変な学習を必要とします。 大人がピアノを弾けないのは、実は知りすぎてい
るからなのです。 えーっ、と思うでしょうが
これは事実です。 大人の脳細胞は非常に発達しています。 それがために日夜、不要な
情報を削除していると聞きます。 さもありなん。
脳のキャパはそう簡単には増えません。
よって、記憶域を確保するには削除の必要があるのです。
テレビの録画機と同じ原理ですね。 不要なデータは削除して容量を空けないと新しいも]]
のが入りません。
脳内でも、同様のことが私たちの知らない間に行われています。
データは複雑なほど、記録に時間がかかり通路が広いほど早く処理できます。 沢山の既
成データは記録の為にボトルネックになってしまいます。
機械と違って人の細胞は、生身のものですから記憶を辿るにはどうしても時間がかかるの
です。 驚くほど信号の流れは速いのですが、それでも
機械の電気信号の早さには及びません。 お子様や若者のように、経験上=年齢上、脳内
細胞が比較的空いている場合は速いのです。
つまり、物覚えが早い。
大人は従来の記憶域が、ボトルネックとなり新しい記憶の構築を阻害
します。
ピアノという複雑怪奇な情報は、ひとまとめにブロックで記憶域を構築した方が便利で
す。 しかし、真っ新な状態からでは脳の記憶域の構築に
大変な時間がかかるのです。 一日やらないと元に戻るのは、そのためです。
居場所がないのです。 居場所の構築には、相当な時間がかかります。
時間だけではなく、情報が必要なのです。 情報が希釈だと保持できません。
記憶の再現が出来なくなるのです。
だいたいお分かりと思いますが、お子様のように順序立ててコツコツやってはどんどんと
情報が消えてしまいます。 保持は出来ません。
そこで、堅固な記憶域を構築する必要が大人のピアノにはあるのです。
それには繰り返し練習しかありません
なんだそれなら普通にやっていると言うあなた、それは違ってませんか?
本当に、覚えるまで繰り返しましたか? 回数だけは、意味があまりありません。
関連付けが必要なのです。 それをしないと、お脳さんは理解してくれません。
覚えるということは、引き出しに情報を入れることと考えます。
適当にやっていると、小さな引き出しがバラけてしまってお能さんが引き出しを開けるの
に手間取ってしまいます。
関連付けると言う事は、大きな引き出しに入れるという事です。
その大きな引き出しのタイトルは「ピアノ」なのです。
その中には、覚えた全てが入っています。 ですから、覚えたことは忘れません。
昔やった人が弾けるようになるのに、そんなに時間はかかりません。
お能さんのずっとずっと奥の方にあった引き出しを、探し当てることができたからです。
三つ子の魂百までもと言いますが、そうですね。 お能さんは、必要かなと思った引き出
しは捨てずにずっとずっと奥の方にしまい込んでいるのです。
ピアノをやると言うことは、オーケストラのように沢山の人員=情報が必要ですね。
何でもやっているうちに出来るようになる、と言うのは誤解で
出来るものは出来るのです。 出来ないのは出来ない。 つまり、引き出しが出来ていな
いのだと思います。 出来ないのに引き出しは構築出来ません。
ピアノをやると能活になると言うならば、脳活になるような練習が必要だと思います。
ただ漫然と、ピアノに向かっていてもお能さんは簡単には
言う事を聞いてくれません。
ピアノと言う本当に面倒臭いものを習得するのは、簡単ではありません。
脳活云々以前の問題があるのです。
百里の道も一歩から、千回やったか・・・。
ピアノは、貴方の心を見ています。